
人工関節とは、傷んでしまった関節のかわりに使う人工の部品です。材料には、体にやさしい金属(コバルトクロム合金やチタン合金)や、丈夫なプラスチック(超高分子量ポリエチレン)が使われています。
変形して痛みを起こしている関節を人工関節に入れ替えることで、ひざの痛みを和らげることができます。また、「全置換術」という手術では、O脚やX脚のように変形してしまった脚の形もまっすぐに整えることができます。
人工関節には2つのタイプがあります。
当院で使っている人工関節のプラスチック部分は、ビタミンEを加えた特別な素材です。これにより、すり減りにくく、長持ちしやすい工夫がされています。そのため、人工関節は20年以上もつことが期待できると言われています。
MRIとは磁気を利用した画像診断法ですので、検査前に体内に挿入された金属や医療器材の有無について必ず質問されます。
当院で行った人工膝関節は金属を使用しておりますがMRIに対応しており、検査は可能です。ただし検査中に異常を感じた場合にはMRI検査を中止して下さい。
当院では太ももの筋肉を全く切らない手術を行い、術後の痛みに対する管理を積極的に行っています。
原則的には全身麻酔の手術を行います。術後は、点滴から持続的に痛み止めが注入されており、術後の疼痛を緩和させることができます。
また当センターでは、術後疼痛を緩和させる目的で、人工関節を設置する際、関節周囲へ麻酔薬や抗炎症剤などを注射する多剤カクテル療法を行っており、術後「全く痛くなかった」とお話される患者様も増えております。
膝関節の前に15㎝ほどの切開を行います。関節内への進入は大腿部の全面の筋肉(大腿四頭筋)を全く切らない方法を用いております。筋肉を切らない手術を行うことによって、術後の筋力回復や歩行能力の回復がスムーズに進みます。
膝関節を展開後、変形した関節表面のみを削り取ります。大腿骨部品、脛骨部品、膝蓋骨部品はすべて骨セメント(接着材料)を用いて固定を行っています。サーフェスを設置し人工関節の設置は終了です。
以前は関節内に血抜きの管(ドレーン)を設置しておりましたが、現在は設置しておりません。これにより、術後翌日からの車いす乗車が可能となりました。
手術の創(キズ)は将来的には吸収される、生体に刺激の少ない糸を用い縫合しております。縫合後の創が開かないよう、糸のゆるみを防止するために特殊に加工された糸を用い丁寧に縫合しております。皮膚の表面は全く縫わず、創を特殊なフィルムで覆い手術は終了となります。
